東海染工グループは地球温暖化対策そして循環型社会の形成を主目的として、バイオマス燃料への転換や省エネ設備の導入、資源の再利用に努めています。 生産活動における薬品使用量の削減とリユース、そしてCO2の削減により環境負荷の軽減に取り組むことは、繊維業界の持続可能なモノづくりへの貢献と考えています。
東海染工は業界に先駆け、1982年12月にバイオマスボイラーを名古屋事業所に導入しました。以後浜松事業所と岐阜事業所に導入し、現在国内全工場にてバイオマスボイラーでの稼働を実現、化石燃料使用率を大幅に削減しました。当社において生地1mの加工を行うのに28MJ(LNG換算で0.64Nm³に相当)のエネルギーを消費しています。このうち75%のエネルギーはバイオマスボイラーで賄っており、その分化石燃料使用量を削減していることになります。
さらには工場内の省エネルギー化を推進し、再生可能なエネルギー源である間伐材や廃材などの木屑チップの使用を2013年比40%削減、これに伴い木屑チップ搬入に必要なトラック運搬回数の減少にも繋がっています。
※ MJ:メガジュール
天然ガスボイラーを使用した場合と比べ、国内全3事業所にてバイオマス燃料使用に切り替えることで、工場稼働に必要な電気・ガス・蒸気などの総エネルギー使用量におけるCO2排出量の75%削減を実現しました。
綿素材の生地は染色の準備工程において苛性ソーダを用いてマーセライズ(シルケット)加工を施すことで光沢や染色性を向上させることができるため、綿素材を扱う染色整理業者の多くは、染色前処理としてシルケット加工を行っております。
東海染工グループはその苛性ソーダの回収再利用を推進しております。シルケット加工で使用された苛性ソーダは水洗により洗い落とされますが、その排液は薄い苛性ソーダ溶液とも言えます。この薄い苛性ソーダ溶液から水を抜き取り、濃い苛性ソーダとして再生し、再利用する技術を確立しました。濃縮する工程においては、「減圧蒸留」という手法を用います。気圧が低い場所(標高が高い山など)でお湯を沸かしたとき、100℃より低い温度で沸騰しますが、この原理を利用して行うのが「減圧蒸留」です。
こうした設備導入と回収活動により、苛性ソーダの使用量削減は当然のこと、排水処理負荷軽減、中和硫酸の削減、温水利用による熱エネルギー80%の回収といった環境負荷軽減を実現しております。
品質安定の為に自社開発された濃度制御装置(CCC-Meter)は、薬品使用のムダ・ロスを減らすことから、生地の加工に使用する漂白剤や糊抜剤の使用量削減に役立っています。
東海染工はこうした濃度制御装置を同業他社にも広く使用してもらうことで、産業全体としての薬品使用量削減に貢献しています。
染色加工には多くの化学物質を使用します。「色」を出すための「色素」即ち染料や顔料も化学物質ですし、綿など天然物から余分なものを除去したり、着心地や機能を付与するために使う薬品にも多種の化学物質が含まれています。それら化学物質の安全性や環境負荷をしっかり把握し使い方を管理するのも私たち加工メーカーの責任の一つです。常に情報収集に努め、適切な使用方法を検討しています。
たとえば、世界で最も多く使用されている合成染料の1つ「アゾ染料」。1990年代、一部のアゾ染料に発ガン性物質が含まれていることがヨーロッパで発表され、EU諸国を始め世界に規制が広まりました。日本では繊維業界での自主規制を2009年から行い、2016年4月には法制化されましたが、弊社ではより早くから情報を集め、使用染料の評価・見直しを続けて来ました。安心・安全な商品作りは加工メーカーとしての責務と考えています。
浜松事業所はエコテックス®スタンダード100の認証を取得しております。エコテックス®スタンダード100とは、350種類を超える有害物質が対象となる厳しい分析試験をクリアした製品や加工だけに与えられる、世界最高水準の安全な繊維製品の証です。お客様により安全、安心な製品をご提供するため、肌との接触が大きい繊維製品=製品クラスⅡでのプロセス認証を受けており、日々の生産活動の中で、これらの規制を遵守しております。